身体考13 (テンセグリティ構造)
私が整体するうえで大切にしている身体を診て治療する考え方の一つに身体はテンセグリティー構造として成り立っていると言うものがあります。
テンセグリティは、「Tension(張力)」と「Integrity(統合)」を組み合わせた言葉。
つまり、「引っぱる力と押し返す力が同時に働いて、全体が安定している構造」のことです。そして、私たちの体の中でも、同じような力のバランスが働いています。
骨(圧縮材):内側から身体を支える構造体
筋膜・筋肉・腱(張力材):外側から引っぱる力を伝えるネットワーク
これらが直接つながらずに張り巡らされ、全体でバランスを保っている構造こそが、テンセグリティ的な人体の特徴なのです。
この考え方は、現在「バイオテンセグリティ(biotensegrity)」という名前で、医学・リハビリ・整体の現場で注目されています。
近年では「全身の筋膜はつながっており、力を伝え合っている」という理論が支持されています。
筋膜とは、筋肉を包む薄い膜のこと。
この概念を提唱したのが、トーマス・マイヤーズによる**アナトミートレイン(Anatomy Trains)**理論です。
アナトミートレインとは
全身を縦横に走る筋膜のつながりを「ライン(線路)」として分類
一か所の張力や制限が、離れた部位の不調にも影響を与えると考える
たとえば足の裏の張りが、背中の緊張や首の痛みにも関係することがある
つまり、筋膜のネットワークはテンセグリティ的に身体全体のバランスを保っているといえるのです。
テンセグリティの構造を生物の構造に応用した理論をバイオテンセグリティと呼ぶようです。
特徴と応用分野
骨が浮いて見える解剖模型:張力で骨を吊るし、関節が接触せずに浮いているように見える
筋肉と腱の連携:筋肉が動くことで張力が変化し、骨の位置が調整される
関節の安定性:骨と骨が直接ぶつからなくても、筋膜や靭帯が張力で支える
リハビリ・整体:身体の一部分だけでなく、全身のバランスを見る考え方が生まれる
この理論により、「力のバランスを見ることが健康を支える」という考え方が浸透しつつあります。
このような観点で身体を診ると日常生活の中でもテンセグリティは働いていると言えます。
姿勢が崩れると、体のどこかでバランスを取ろうとする(例:猫背で腰痛)
歩き方ひとつでも、足から背骨まで筋膜を介して力が伝わる
体の一部を無理に押したり伸ばすと、別の場所にストレスがかかる
つまり「部分ではなく全体を見る」視点が大切であり、これはテンセグリティの基本そのものです。体調改善・運動・ストレッチにも応用可能
ストレッチは「引っ張りのバランス」を整える作業
筋トレも「部分的な強化」ではなく、「体全体の力の流れ」を意識すると効果的
整体やリハビリでは、「押す」よりも「バランスを取り戻す」ことが目的になる
テンセグリティを知ると、身体との向き合い方が変わります。人体も“しなやかで強い構造”を持っている
テンセグリティ構造は、「しなやかで、でも崩れない」構造です。
私たちの身体も同じように、一部が動いても全体で支え合い、壊れずに動き続けられるようにできています。
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